Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
不意打ちに顔が真っ赤になってしまった事を知られるのが嫌で俯いて誤魔化すと、胸に顔を埋めるような形になってしまった。

「ひっ…姫って言うのやめてよ。耳噛むのもやめ…て…っ。」

「クス…カワイイ♪感じてるの?それにしても千茉莉がこうして俺にもたれかかってくるのは珍しいな。どうした?急に…今日はえらく甘えたチャン?それとも今ので欲しくなった?」

ち・がーうっ!

確かに広い胸にしっかり取り込まれているのは事実で、その胸に顔を埋める形で抱きしめられているこの体勢はあたしが響さんに甘えているように見えてもおかしくない。
でも、ハッキリ言って大きな勘違いなのっ!
それに何よ、その『欲しくなった?』って!

あほかっ!

「もぉっ!からかうのもいい加減にしてよ。今日の響さんはいつものあなたじゃないもん。別人みたいでヤダ!」

「そんなに拗ねるなよ。」

だーかーらぁ!拗ねてないって言ってるでしょ?人の話しを聞きなさいよ。

「素直じゃないな…や、お前の場合、口よりもこっちの方が『本音』だから。」

あまりに能天気な響さんにさすがにマジ切れしたあたしが『こっちって何よ?』と、噛み付こうとしたとき…



……熱い唇にその言葉を遮られた。


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