Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
「あ~ん。追いつかれちゃった」

な~んてね。わざとらしく可愛いフリをして拗ねてみたりして…
あたしって結構演技派なのかもしれない。

でも響さんって、人格変わってもこういう本能的なところは変わってないのね?

「ハイハイ。かわいい顔しても無駄、素直にいいなよ、欲しいって。」

…悪いけど、今日のあなたにはその気には絶対になれそうにないわ。
どんなに同じ顔でも、やっぱりあなたはあたしの大好きな響さんとは違うもの。

「女の子にそんな事言わせるの?響さんって意地悪なんだ…。あたしの好きな響さんはそんな意地悪じゃないもん。」

策に嵌まったとも知らず、嬉しそうに目を細めると、クスクスと笑いながらあたしに覆いかぶさって唇を近づけてくる。


そう、そのままキスして?


「拗ねるなって 喰うぞ。」

「…じゃあ…機嫌直すからキスして…。」

あたしにしては究極の色っぽい声で誘うと、すぐにキスの雨が降ってくる。
必死にそれを受け止めながらも、あたしの手は枕の下に忍ばせたものへと伸びていた。

今日まで何度も、この世にこんなものが無ければ良いのにって怨んだ事もあったけど

今日ほどキミに感謝したことは無いよ。

いままでありがとう……成仏してね。



あたしは3年間愛用したキャラクター目覚ましを掴むと、響さんの後頭部へ向けて思い切り振り下ろした。




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