Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
「ごめんね。コーヒーを淹れている時点で、おかしい事には気づいていたのに熱があるって分からなくて…。」

「いや…それは千茉莉のせいじゃねぇし。俺ですら熱を出したら自分がどうなるかなんて知らなかったんだから。」

「あのね、あたし良く分かったの。たとえ同じ顔で、同じ声のあなたでも、人格の違う響さんは愛せないと思うの。あたしが好きなのは姿かたちじゃなくて、あたしを愛してくれるあなたの心であり、魂なのよ。」


……千茉莉の言葉に胸が熱くなって言葉も出なかった。



「響さんは、俺様で、我侭で、キス魔で、触り魔で、意地悪で、どうしようもないエロオヤジだと思うわよ。でもそんなあなたでないとダメなの。」

俺でないとダメって言ったよな?今。
すげ~微妙な台詞も入っていた気がするが、確かに俺の魂を愛しているって言ったよな?

昔から俺が求め続け、手に入れる事の出来なかった唯一のものを、千茉莉はこんなにもあっさりと与えてくれる…

少々綺麗な外見や肩書きなど、俺の本質には関係ないのだと教えてくれるお前はどれほど俺の心を救ってくれているか分かっているんだろうか。

千茉莉の言葉はいつだって俺を救ってくれる。


蜂蜜色に染まる公園で、初めて出逢った幼い少女の頃から…





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