Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
思いがけなく取れた長期休暇に、急ではあるが新婚旅行へ行こうと思い立ったのは5日前。

龍也の手がけたホテルが話題になっているのを知っていた俺は、すぐに奴に電話をかけ、部屋を用意してもらった。

部屋代はいらないと言われたが、記念すべき新婚旅行に友人の厄介になるのは嫌だと断ると、スタンダードルームの料金でスイートルームを用意してやると言い出した。

持つべきものは親友だな。と、龍也の気持ちが嬉しくてその申し出をありがたく受ける事にしたのだが…。

…本当に好意でやったんだろうかあいつ?

ふと、浮んだ疑問に嫌な予感が過ぎる。

そう言えば龍也は聖良ちゃんと付き合うきっかけになったあの時のキス未遂を根に持って暁にすげぇ酷な事をしたって言ってたよな。

あいつを敵に回す事だけはしないでおこうってあの時心底思ったっけ。

俺って、あの場にいたけど、いままで龍也に何か言われた事ないし…大丈夫だよな?

聖良ちゃんに対して龍也が嫉妬しそうな事…何かした…記憶は無いな?

聖良ちゃんを抱き締めたり、助けたりした記憶って…無い…事も…無かった気が……する。

龍也と聖良ちゃんが出会ってから今日までの記憶を引っ張り出してざっと考えてみると、高校時代に何度か転びそうになった聖良ちゃんを支えたり、呼び出しを受けた彼女を偶然見かけて助けた事があった記憶はあるが…。まさか感謝される事があっても根にもたれる事は無いはずだ。


…………大丈夫…だよな?


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