Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
ベッドに倒れ込んですぐに目を閉じたあたしに、響さんがフワリとお布団をかけてくれる。

その感覚が、まるで抱きしめられているようで、ドキドキと鳴り続ける心臓が不思議と治まって、緊張が少しずつ解けていく。
あなたの温もりを感じて眠れば、きっと不安も無く、幸せな夢を見られる気がした。

「…あのね、響さん…あたし怖いの」

「ん?何が?」

「あたしの作ったチョコレートが、ちゃんとお客さんの想いを伝えてくれるのかな…って」

クス…と小さく笑う声と共に、あたしの隣に滑り込むと、不安を消すようにキュッと抱きしめてくれる。

響さんの香りに抱かれて、優しい鼓動を聞いていると、どんどん心が穏やかになって、あたしはすぐに夢の中へと引き込まれていった。

「大丈夫…。お前のお菓子には人を優しくする力があるんだから…明日はきっと、みんなを幸せにしてくれるさ」

優しいキスを頬に感じたけれど、もう目は開かなくて、響さんがどんな表情をしていたかは分からない。

だけど、その声はとても優しかった。

「あたしの作ったチョコレートで、みんなが幸せになってくれたらいいな…」

声に出していたかすら、分からないけれど、きっと響さんには聞こえていたと思う。





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