Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
あたしだって本当は寂しいのよ?

今朝の激しいキスで、ここ暫く忘れかけていた甘い感覚が蘇って、身体の芯にカッと火が付いたようだった。

怒ったように彼を振り切って出てきたけれど、あれは理性も現実も粉々に吹き飛んで、あなたの中に溶け込んでいたいと願ってしまう自分を叱咤する為。

本当に、響さんの甘いテノールにあたしはメチャクチャ弱い。

耳元で彼の囁く声が響くと、身体から力が抜けて、湯せんにかけられたチョコレートのように身体の中から甘く溶け出してしまうもの。

ねぇ…響さん。あなたはあたしのハートなの。

心臓《ハート》を失ったら、あたしの時間は止まってしまう。

あなたはあたしに溺れきっているって言うけれど…


あたしはあなたに溶けきっているんだから…。


寂しい思いをした分だけ、今夜は素敵なバレンタインにしようね。


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