Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
「あ…っ、千茉莉?おまっ…どうして?」
感情に追い討ちをかけるように、チョコレートの山とあたしを交互に見て焦る響さんに、益々苛立ちを感じる。
「あら?何を焦っているの?あたし来ちゃいけなかったのかしら?」
「何をバカなこと言ってんだよ」
「じゃあ、堂々としていればいいのよ。焦って隠さなくちゃいけないような相手からもらったチョコじゃないでしょう?」
「――っ、そりゃ、そうだけど…。お前が嫌がると思って…」
ああ、あたし嫌な娘だ。響さんに八つ当たりしている。
嫉妬で一瞬でもお菓子を愛せなかった醜い自分が嫌で…
「ごめ…ん。あたし…最低…。パティシェ失格だわ」
「はぁ?おかしいぞお前。とにかく帰ろう。俺も今日はもう親父にまかせて帰るから」
「別に気を使わなくていいわ。遅くなっても待っているつもりだったから」
「いや、今すぐに帰る」
刺々しい言い方にもさして気にした様子も見せない彼の余裕に、自分の幼さを痛感して更に落ち込んでいると、不意に目の前に影が落ちた。
つられるように見上げると、響さんが少し腰をかがめてあたしを覗き込んでいた。
感情に追い討ちをかけるように、チョコレートの山とあたしを交互に見て焦る響さんに、益々苛立ちを感じる。
「あら?何を焦っているの?あたし来ちゃいけなかったのかしら?」
「何をバカなこと言ってんだよ」
「じゃあ、堂々としていればいいのよ。焦って隠さなくちゃいけないような相手からもらったチョコじゃないでしょう?」
「――っ、そりゃ、そうだけど…。お前が嫌がると思って…」
ああ、あたし嫌な娘だ。響さんに八つ当たりしている。
嫉妬で一瞬でもお菓子を愛せなかった醜い自分が嫌で…
「ごめ…ん。あたし…最低…。パティシェ失格だわ」
「はぁ?おかしいぞお前。とにかく帰ろう。俺も今日はもう親父にまかせて帰るから」
「別に気を使わなくていいわ。遅くなっても待っているつもりだったから」
「いや、今すぐに帰る」
刺々しい言い方にもさして気にした様子も見せない彼の余裕に、自分の幼さを痛感して更に落ち込んでいると、不意に目の前に影が落ちた。
つられるように見上げると、響さんが少し腰をかがめてあたしを覗き込んでいた。