Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
どちらからとも無く唇を重ね、激しく貪るように求め合う。

彼女の甘い唾液が俺の中に生気を送り込むように流れ込んでくると、ここ数日の飢餓感が薄れ、心の乾きが潤っていく。

もっと彼女が欲しい。

今すぐにこの場で繋がりたいとさえ思うが、せっかくのバレンタインにそれは無いだろうと必死に理性を手繰り寄せたそのとき…。


「…響さん…抱いて…」


消え入りそうな小さな声に耳を疑った。

千茉莉が自分から抱いて欲しいと言うなんて…。

思いがけないバレンタインギフトに、心臓がフルスピードで爆走を始める。

それでも、動揺を悟られないように必死で余裕の表情を装いながら、耳元でわざと感じるように囁いた。

「千茉莉…今夜は夜景の綺麗なホテルを予約したんだ…。食事をしてゆっくりと夜を楽しもう…な?」

潤んだ瞳で俺を見上げ頷く千茉莉に満足げに微笑むと、車のエンジンをかけ、ホテルへと向かった。



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