Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
ドアを開けて息を呑んだ…。
窓の外には闇夜に浮かぶ人工ダイヤの煌き。
部屋いっぱいの目にも鮮やかな真紅の薔薇。
そして…
「ひっ…響さん?これってスイートルームじゃないの?」
「まあな。久しぶりの甘い夜にはうってつけだろう?」
そりゃあ、確かに素敵なお部屋よ。
しかもこんなにたくさんの薔薇…。
すっごく嬉しくて、頬が緩んじゃうのは確かなんだけど
良く考えたらこれってものすごい金額になるんじゃないの?
「だって…こんな立派なお部屋…それに凄い数の薔薇だよ?」
「…あー…、だな?すげーや。部屋ん中真っ赤だ。あいつやりすぎだっつーの」
「響さんが用意したんじゃないの?」
「ん?俺は電話一本で頼んだだけ。夜景の見える部屋に赤い薔薇の花束を用意してくれって」
電話一本。
それだけで響さんのために簡単にスイートルームや、部屋を真っ赤に埋め尽くすだけの薔薇を用意出来る人を、あたしは一人だけ知っている。
このホテルのオーナーで響さんの親友の龍也さんだ。