Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
「普通の部屋でよかったんだけどな。流石にバレンタインは夜景の見える部屋ってのがなかなか取れないらしくて、スイートで用意してくれたらしい」

「龍也さんに無理を言ったんじゃないの?」

「あのなぁ、親友ってのは無理を利いてくれるためにいるんだ」

響さんは窓辺へとあたしをエスコートしながら満足げに微笑んだ。

その表情《かお》に、照れ隠しの小さなウソを見つける。

違うでしょう?

本当は最初から全部あなたがこうしてくれるように頼んだのよね?

「クス…相変わらず無茶苦茶なんだから…」

呆れながらも彼の気持ちが嬉しくて、今夜は騙されてあげようと思った。



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