パラレルワールド
楽はひとりっこだし、野菜好きだし、親に逆らうような子じゃなかったからそんなことがあるなんて思いもしなかった。
「何で嫌だったの!?」
「……俺の好きな子が………奈々が野菜大嫌いだったから」
…………へ?
「うらんだよ、何で俺んちは八百屋なんだーって。これじゃあ奈々は俺と結婚してくれねーって焦って………」
「継がないってのができないなら奈々に野菜好きになってもらおー…って……」
「ぷっ」
「んだよ、悪いか!?」
「…い、いや……楽も可愛いとこあるんだな…って」
おかしくて震える。
「笑うな馬鹿!」
両ほっぺをつままれる。
顔が近い。
「キスだって……奈々を野菜好きにさせるまでは…我慢しよって決めてたのに誘惑してくっし…」
顔が赤い楽。
トマトみたいだ…。
楽……アタシ今ならなんかすごい野菜いっぱい食べれる気がするんですけど。
「でも、今日はもういいよな」
え?と言う前にアタシの口は楽の口でふさがれた。
登校中の生徒達が声をあげて騒ぐ。
「トマト味……」
「なっ…なっ…」
「恋人らしいこと…だろ?」
にっと笑う楽。
アタシの顔は真っ赤に熟れる。
「この…っ野菜馬鹿ーーーっ!!!!!」