恋と清涼感
といっても突然告白するだけでは断られてしまう。
私は先輩のことを知っているがあちらは私のことなど知らないだろう。
だからまだ決戦の時ではない。

一か八かでは駄目なのだ。
勝率70%以上でなければ私は勝負しない。
より近藤先輩のことを知り、それに基づいて先輩好みの女の子になって近づくことが必要なのだ。
その為にも先輩の回りから情報を得るのだ!!

まずは近藤先輩の部活の後輩たちからだ。

「近藤さんに捕まったら終わりだな、寝技喰らったら死ぬしかないよ」

「本当だよ、今度のインターハイ予選ではあの武器で優勝だろ」

「違ぇねぇw対戦相手が可愛そうだぜ」

休憩時間に柔道場の裏で雑談する後輩たち。私はそこから少し離れた茂みに隠れて聞き耳を立てていた。

「ふむふむ、なるほど」

右手に持った愛用のメモ帳に情報を書き込んでいく。
今自分は探偵にでなった気分だ。あえて言うならホームズやコナンの気分かな?

「…何やってんのマコっち?」

突然後ろから声をかけられた。モリアーティか!?ジンか!?

「…なんだ五十嵐くんか」

「なんだはないだろうさ。探してたんだぜ」

「こっち急用があるから話をしている場合じゃ…あれ、五十嵐くん汗かいてるよ?」

よく見てみると肩で息をしている五十嵐の頬を一筋の汗が流れていた。

「あぁ、だってマコっちを探して走り回ってたからさ。話の最中でいなくなることはないじゃいか」

「なんだ、そういう汗か」

私は軽く落胆しながら当初のターゲットを確認した。

「ってあれ?…いない」

どうやらもう休憩時間は終わったらしい。もう彼らからは情報を得られない。
なら別の所に行くかな。
近藤先輩は友人が多いから今度はそちらだ。

「あれ、五十嵐くんまだいたの?」


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