恋と清涼感
昨日は様々な3年生の近くで聞き耳を立てていたおかげで近藤先輩の好みの女の子が分かった。
そして私は完璧にその好みの女の子に変身した。
今日はシュミレートに基づいた行動をして先輩を攻略するのだ。

まずは登校中に偶然を装ってぶつかり運命の出会いを表現するのだ。
ベタな感じもするがこれもシュミレートによるものだ。漫画みたいに運命的な出会いをしてみたいだなんて先輩も純真みたいで良かった。
曲がり角から先輩が登校してくる方を覗くと調度よくこちらにゆっくりと歩いて来ていた。
後はタイミングを合わせてぶつかるだけだ。
間合いをはかり私は全速力で走り出した。
胸がだんだん高鳴っていく。運動のせいか恋のせいかは分からない。
曲がり角から先輩が出て来た。

「あっぶな~いっ!!」

わざとらしくそう叫んでみた。
後はぶつかってお互いに尻餅をつく。そして謝りながらハンカチを差し出す。
< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop