宝箱ー妖精の街ー
「ここ、どこよ…」

春花は放心状態のまま、何とか外に這いずった。

その直後エレベーターは吸い込まれるように地面に下がって行った。

色とりどりの草花が咲き乱れる草原は不気味なほど風の音しかしなかった。

しかし、その静けさが一段と幻想的な美しさを醸し出していた。

「きれい…」

春花はその美しい景色にしばし見入った。

しかし、そこでやっと春花は最初の疑問を思い出した。

「んで、ここどこよ。」

少し頭をひねってみたが、なかなか良いアイデアは思い浮かばなかった。

「まぁ、良いや。取りあえず歩いてみますか。」

さすが、キング オブ ポジティブシンキング。

春花はそのまま適当に歩きだした。

ズテッ

幸先が悪い。春花は歩き始め僅か数十歩で何かにつまずきこけた。

「痛ってぇ~。何、今日は厄日?」

春花は苛立ちを隠さず独り言を言った。
< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop