"code = choice"

 自分の仕業ではないことに胸を撫で下ろし、額の汗を拭う。同時に、自分だけの秘密が世間に流れてしまったことに対し、今さらのように落胆する。
 僕は複雑な心境のまま、とりあえず学校に向かった。

 自分が原因でないとすれば、別の何者かが瀬戸 麻美のブログを狙ったことになる。
 誰が、何の目的で?
 考えたところで僕に何が出来るわけでもないし、現実社会で、彼女本人と関わることはまず有り得ない。僕は底辺寄りの一般人で、彼女は人気声優である。そして同時に、ピラミッドの頂点なのだ。

「よお、朝からシケた顔してんなあ。どうせ、サレだろ、お前の好きな声優のブログが炎上したことだろ」
「おっす・・・」

「有名人はな、多かれ少なかれ誰かに恨まれてんだよ。天罰だよ、天罰」
 クラスメイトの本田 拓郎。中学時代からの友人で、僕が唯一気を許せる人物。同じコンプレックスを持ち、同じような家庭環境だ。いわゆる、類友。


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