"code = choice"
体育館に入って来た人物は、男性ではなく線の細い女性だった。
その女性は、座り込んでいる僕の元に、一直線に向かって来る。途中から速足になり、最後には前傾姿勢で走り出した。
薄暗い体育館の中、10メートルほどの距離になった時、僕はようやく気付いた。それは、ブログの写真で見た、
「瀬戸 麻―――――」
次の瞬間、目の前に火花が散り、僕は猛烈な勢いで後方に倒れた。大の字に転がった僕の目に写るのは、天井の丸いライトだ。
いったい何が自分に起きたのか、まったく分からない。
しかし、あごがジンジンと痛み、仁王立ちで見下ろしている不動明王のような彼女の表情を見て、僕は状況を理解すした。
僕は、全速力で走って来た瀬戸 麻美に、思い切り蹴り飛ばされたのだ。
気が動転する僕の胸ぐらを掴み、彼女はアリサと同じ声でスゴむ。
「あなたでしょ。私のシークレットブログを閲覧可能にしたのは!!」
どうやら、あのメールが配信されたのは僕だけらしい。
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