"code = choice"
瀬戸 麻美に会えたことは涙が溢れるほど嬉しい。しかも、アリサの生声を聞くことができたことは、本当にファン冥利に尽きる。
しかし、胸ぐらを掴まれ、今にも握り締めた右拳を振り下ろされそうな状況は、どうにかしなければならない。
「ちょ、ちょっと待って下さい。
なぜ僕が、そんな事をしなくちゃならないんですか?
そもそも、僕のような一般の高校生に、そんなことができるハズがないでしょう!!」
上半身を起こすと、胸ぐらを掴んでいる左手を取り、振りほどきながら必死に弁解する。しかし、彼女の怒りは収まらない。力を込めた右拳が、僕の頬を打ち抜き、僕は再び床の上に大の字に転がった。
「あなたの空メールの直後から、パスワードが無効になってるのよ!!
確かな証拠があるのに、まだ誤魔化そうというの?
ふざけないで!!」
必死の弁明が、火に油を注ぐ結果を招く。
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