"code = choice"

 瀬戸 麻美は僕の素性をメモすると、「男ならストーカー紛いのことをしないで、世界を救いなさい」と、意味不明な捨てゼリフを吐いて去って行った。

 なぜ世界?
 と言うか、それってアリサのセリフじゃん。
 録音すれば良かった・・・

 彼女が体育館を出て行った後、僕は自ら大の字に寝転んだ。
 災難に遭ったが、本人に会えたことだけは自慢できそうだ。
 しかし、思い切り蹴り飛ばされたことや、犯人だと断定されている事実を思い出すと悲しい。

 それにしても、Zさんの言う通り僕が犯人ではないとすると、いったい誰がパスワードを無効化したのだろうか?
 何か目的があるのか。それとも、単なるストーカー的な行為なのか。
 いずれにしても、ただの高校生である僕に解決することができる問題ではないし、その部分に関わるべきではない。

「・・・帰ろうっと」

 天井から垂れ下がる巨大なライトを見詰めながら呟くと、両足で反動をつけて起き上がった。


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