"code = choice"

 昼休憩。僕はいつものように昼食のパンを買うため、1階に下りて体育館の横にある学食に向かう。

 渡り廊下を歩いている時、ポケットの中で不意にスマートフォンがバイブレーション。このリズムはメールではなく、電話の着信だ。
 相手を確認するが、アドレス帳に登録されていない電話番号で誰だか分からない。相手が分からない時は電話に出ることはしないが、10回コールしては繰り返し鳴るので、4度目に耐えきれなくなった。

「もしもし?」
「もしもし、じゃないわよ!!
 昼休みでしょ。いったい何回鳴らしたと思ってるのよ!!」

 この傍若無人な物言いと、アリサ声は、瀬戸 麻美だ。
 心拍数が上がり、呼吸が苦しくなってくる。ヤバイ・・・これは瀬戸 麻美から電話が掛かってきたことに対する喜びではなく、明らかに身の危険を感じた時の反応だ。


.
< 34 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop