"code = choice"

「そんなの、絶対に不可能だ!!」
 現状を知る僕は、思わず叫ぶ。責任転嫁だと思う。
 自分たちのミスにも関わらず、万一のときは阿部先生一人に背負わすために、「うん」と言わせようとしているのだろう。

「浩平、お前学校はどうした?
 なぜ部外者がここにいるんだ。帰りなさい」
「今は、そんな事より―――」
「分かりました」
 父に向かい、阿部先生が無理難題を承諾する。
「そ、そんな・・・先生!!」

 父が僕の肩を掴み、さらに厳しい口調で告げる。
「帰りなさい。帰らないのならば、警察に通報する」
 父は本気だ。
 僕に向けられた視線は自分の子供ではなく、明らかに不法侵入した犯罪者に向けられたものだ。

 「くそ!!」と心の中で叫び、僕は父の横を通り過ぎようとした。そんな僕の手を掴むと、父は懐から1万円札を取り出す。


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