"code = choice"

 その話しを耳にした瞬間、僕の中で鬱積していた何かが弾けた。
 一瞬、視界が真っ白になり、今まで見えていなかった足元や、遥かな道の果てまでもが見えた。

「Zさん、この戦いは、どういう結末になると思いますか?」
「99%の確率で負ける。こちらには、抑制はできても、ウィルス本体を破壊する術が無いから。
 ・・・いや、以前ペンタゴンに侵入したチョイスがあれば、あるいは・・・」
「何だい、それは?」
 オーナーがZさんに問う。その質問に、Zさんは簡潔に答えた。

「強制的に選択させるウィルスです。その強制力の前に、ペンタゴンのファイアウォールでさえも完敗しました。
 ただ、その一度きりしかそのウィルスが世に出たことは無く、プログラムも全く分かりません。我々ハッカーの間では伝説であり、そして、目標でもあります」


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