"code = choice"

「帰ります」
　僕はＺさんの話しを聞き終えると同時に、そう告げる。
　僕は、本当に今やりたいこと、本当にやらなければならないことに気付いた。

　Ｚさんが僕の肩をポンと叩き、オーナーが笑顔で言う。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます！！」

　店の扉を開け外に出ると、瀬戸さんの赤い車が未だ停車したままだった。中を覗き込むと、バンドルを抱き抱えるように項垂れている。
　考えていることは、僕と一緒なのかも知れない。

　運転席側の窓ガラスを軽く叩き、僕の存在を知らせる。それに気付き、窓ガラスが開く。

「どうしたの？」
「自宅まで、送ってもらえませんか？」

　僕には自信があった。瀬戸さんは、絶対に僕の味方をしてくれると。


.