"code = choice"
「何で、私が足代わりなのよ!!」
「イテテ・・・」
右ストレートを頂いたが、瀬戸さんは僕を自宅まで送り届けてくれている。
「さっきまでとは違う、その晴れ晴れとした表情・・・もう一回行くのね?」
「はい。このままでは、僕はまた後悔を背負ったまま、卑屈に生きていかなければなりません。
僕はもう、下を向いて生きていくのは嫌なんです」
「そう・・・か」
と呟いて、瀬戸さんが満足そうな表情で微笑む。
直ぐに自宅が見え、僕は玄関先に停車した車から降りる。
「ありがとうございました」
「何言ってるの?
当然、私も行くわよ」
「え?」
「早く準備して、直ぐに出発するから!!」
「は、はい!!」
僕は玄関に飛び込み、財布とスマートフォンをポケットに押し込む。そして、カバンを放り投げると同時に、仏間に走った。
灯を点け、母が亡くなって以来、初めて仏壇に飾られた遺影の前に座る。
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