"code = choice"

「ところで」
 僕は後部座席に座る拓郎に、視線を送る。なぜか旅行にでも行きそうな、大きいバッグを持っているのだ。
「それ・・・いったい何だ?」
「ん、これか?
 俺の秘密兵器だ。今は教えてやらないが、たぶん役に立つぜ」
「へえ」
 まるでイタズラっ子のように笑う拓郎。どうせ、ロクでもないことに決まっている。

 そんなことより、今はこっちの方が重要だ。感覚を思い出してきたとは言え、イチイチ考えなければならない。問題は残り時間だ。
 膝の上に置いたパソコンに向かい、車の動きに合わせてキーを叩く。

 やがて車は都内に入り、昼間に見た特徴のあるビル群が目に飛び込んでくる。そして、出発して1時間半後の20時過ぎに、ようやく株式会社ネオ・アースに到着した。

 既に周囲は暗くなり、街灯と車のライト、それにビルの窓から溢れる光が僕たちを照らしている。


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