"code = choice"

「行こう!!」
 車から降りると、僕は先頭を歩いて正面玄関に向かう。社員の帰宅時間が遅いのか、正面玄関の自動ドアは昼間と同じように開く。

「何だね、君たちは?」
 受付に人影は無く、代わりに派遣されて来ているらしい制服姿の警備員に呼び止められる。
「前田に面会したいんです。僕は前田の家族です」

 警備員は怪訝そうに僕を上から下へ眺めた後、受付カウンターに向かうと電話を掛ける。そして一言二言話しをすると、再び僕の前に戻って来た。
「ここで、しばらく待っていて下さい」
 言葉遣いの変化から、僕が家族だと分かったことが窺える。

 そして、待つこと約5分。
 エレベーターから、父の姿が現れた。そして僕の目の前に立ち、威嚇する様に強い口調で言う。
「浩平、それにキミたちも、私は帰るように言ったはずだぞ」


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