【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜

 言いかけて止まる。
 うまく言葉が出てこない。

「うん」

 真っ直ぐな目の前の瞳。
 ゴクンと喉がなる。

「本当にごめんね。買い物、付き合えなくて」

 瞬間、長谷川くんの顔が曇った。

「言ったろ? 買い物を口実にした、デートだって」

 男らしい口調でハッキリ言い切る。
 いつもは可愛い雰囲気なのに、意外な一面に少し驚いた。
 
「そ、そっか。あの、せっかく誘ってくれたデートだったのに……ごめん」

 あたしにとっても特別な日だった、はずなのに――。

< 154 / 370 >

この作品をシェア

pagetop