【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
『だから、入ってすぐのトコで待ててって言ったのに』
呆れたような、心配しているような、柔らかな声が耳元で響く。確に、そう返信をもらっていた。
でも、すぐ分かるつもりで、
大丈夫大丈夫〜。
とか軽く考えていて。
方向音痴な人ってやたら自信いっぱいに間違うよねって、前に由真にもいわれたことを思い出す。
「ごめんね、お兄ちゃん。遅くなって」
急ぎの書類だった筈なのに。申し訳なくて声が小さくなる。
『 はぁ……』
携帯から漏れるため息が色っぽくて、思わず体が飛び跳ねた。お兄ちゃんの仕草はいつも心臓に悪い。
『こっちは大丈夫だけど。もう暗いし。今いる所から見えるもの何かある?』
「えっと、何か……。木ばっかりで……」