【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
人垣もまばらになった頃、
揺れる前髪の間から覗く
あの印象に残る瞳が、
こっちを見て優しく細められた。
不覚にもときめいてしまう。
「――シュウってあんな顔するのね」
驚いたような声が隣から聞こえた。
え?
「シュウは適当に愛想もいいし優しいけど、心にバリケードを作るタイプだから。あなたは、特別なのね」
何故かドキンとして見上げると、意味あり気な微笑み。
「さ、もうすぐ解放されそうだから、私はそろそろ帰るわね」
その時、やっとあたしに付き合ってくれてたことに気づく。
「あ、ありがとうございました!」
「お兄ちゃんのこと、よろしくね」
ひらひらと手を振りながら扉を開けて帰っていく。