【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
「まだ忙しいし――当分、大学泊まるよ。八重子さんにも、そう言っといて」
見たことないほど
冷たい笑み。
表情のない声で
言い放つ。
「彼氏に、よろしく」
口の端を不自然に上げてそれだけ言うと、踵を返して階段を上がっていく。
「え、あ……。お兄ちゃん!?」
急激な態度の変化に、動揺を隠せなくて
思わず呼び止めた。
少しでいいから
こっちを見てほしくて。
やがて一度も振り返ることのないまま、階上に消えたお兄ちゃんの姿。
まるで拒絶するように。