【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
あたしが、傷つけたんだ。
戻れない――。
もう、何にも知らなかった頃のようには。
「俺は、あやまんないから」
彼はただ一言そう言って、
泣き面がみっともなすぎて顔があげられないあたしの隣に、
花火が上がり終えるまで、ただ黙って一緒に居てくれたんだ。
「さよなら」
校門で彼は立ち止まって、言った。
一緒にはきっともう帰れないんだろうな。
「……さよなら」
暗く陰ったその表情に、数時間前の彼の笑顔を重ねる。
さよなら、
初めての恋人だった人。
小さくそう呟いて、
あたしは、ぐしゃぐしゃの顔のまま
振り切るようにペダルを強く踏みこんだ。