【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
「どいて!」
腹を立てて二人の間をすり抜ける。洗面所に駆け込むと何度も顔を洗って目を冷やした。けど一向に腫れが引く気配がない。
泣いたままうつ伏せで寝てしまったのがよくなかったか!?
こんな顔で学校に行くなんて無理!
休むのは簡単だ。でも――。長谷川くんの顔が脳裏にちらついた。
昨日の今日だし。もし休んだら、余計な心配かけるかもしれない……。迷った末、重い足取りで自転車に跨がる。
「あ、千衣子。今日はご飯食べに行くから、真っ直ぐ帰ってきてね〜」
玄関から顔を出すお母さんに、
「あーい」
適当な返事をしながらペダルを踏み込んだ。
下まぶたと上まぶたが引っ付きそうな隙間から見る世界は狭い。いつもの倍はかかってフラフラ運転しながらなんとか学校へ到着。