【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜

「悪いけど。今、千衣子は俺と話してるんだ」

 なぜかお兄ちゃんがあたしを押し退けて前に出る。
  
「なんの話しかな? 別れ話の続き?」

 笑顔で斬り込むお兄ちゃんの一言に空気が一気に凍り付く。

「……お兄さんは関係ないです。これは僕たち二人の問題なんで」

「無理矢理キスしといて、関係なくはないだろ? 大切な妹なんだ」

「……恋人同士の問題に家族が口を挟むのはどうかと思いますけど」

「もう恋人じゃないだろ?」

「それは――まだ」

 薄暗い中で挑発し合い睨み合う美しい二人の男。激しい応酬に口も挟めない。

 ちらりとあたしを見た長谷川くんの瞳が揺れる。

 一触即発な雰囲気。

 絵になる二人を前にしてピリピリとした空気に飲まれて言葉が出なかった。

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