【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜

 一瞬何が起きたかわからなかった。真上からお兄ちゃんらしくない固い声。

「行かせない」
 
 その強制的な声色に体が緊張する。

「――須田!」

 長谷川くんの呼ぶ声に後ろ髪を引かれながらも、その場から引き剥がされるようにお兄ちゃんの手に引かれ、家へと強制送還されたのだった。

 玄関。あたしを解放したお兄ちゃんは目も合わせてくれない。

「――怒ってるの?」
 
 その問いには答えず、お兄ちゃんはあたしを一瞥すると、小さなため息をついた。胸がチクンと痛む。

「入ろ」

 一言いうと一人でさっさと行ってしまう。
 
 少し迷って、あたしも後を付いてリビングに向かった。

 さっきまでの告白する勢いは何処へやら。こんな雰囲気じゃ、言えない。今を逃したら、きっと、多分、一生。伝えられないだろうけど……。


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