【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
違う。全然違うのに……。
いつものお兄ちゃんじゃない。何も伝わる気がしなくて、怖かった。
少し流されたサラサラの前髪。そこから覗く大きな瞳。通った鼻筋。それらが想像したこともないくらい近くにある。
お兄ちゃんの心音
お兄ちゃんの呼吸
お兄ちゃんの体温
全てを直に伝わってくるのに気持ちだけが伝わらない。
「……チィは悪い子だな」
え?
冷めた視線と熱をもった囁きがあたしの思考回路をダメにする。
「悪い子には、お仕置きだ」
どういう意味か考える暇もなく。次の瞬間、意識が真っ白に飛んだ。
気づいたら唇に唇が――重なっていたんだから。