【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
「……アイツにもそんな顔、見せた?」
低く怒ったような声がキスの余韻のせいか耳に甘く響いた。
アイツ……長谷川くんに『そんな顔』?
「そんな、エロい顔」
その爆弾発言に一気に火照る。耳まで熱い。どんな顔か分からないけど明らかに長谷川くんの時とは違うことは自覚していた。
「しないよっ。見せてない!」
お兄ちゃんにしか――。空回りしてる想いが悔しくて悲しい。横を向いて下唇を噛む。
「……何してんだろうな、俺」
え? 今、何て?
そのため息まじりの呟きを聞き取る前に、体が離れて行った。
「悪戯が過ぎたかな。――ごめん」
顔を上げた時には、もう『大人の余裕』という仮面をつけた、いつものお兄ちゃん。