【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
周りには高い月と黒い山影だけ。街灯も少なくて薄暗い。ざわざわ揺れる黒い木々が薄気味悪さを盛り上げゾクッと悪寒が走った。
見慣れない景色薄暗い闇に囲まれて激しく心細くなる。夜空を見上げて涙を拭った。泣いてる場合じゃない。
湿った汗が夜風に冷えてきた。急に飛び出したから上着も着てなかった。
「さむっ」
自分で自分を抱き締める。鼻水を啜る音が夜に吸い込まれて行く。
我に返ってポケットを探ると携帯を取り出した。小銭すら持っていない。この小さな文明の力だけが頼り!
無意識にいつものようにお兄ちゃんの短縮を呼び出そうとしてるあたし。
いやいや、違うでしょ!
日頃どれだけ自分がお兄ちゃんに頼っていたか実感して嫌気が差した。