【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
「あ、秀哉とは会わなかった? 千衣子を追って出たんだけど」
え――。言葉を理解するまで時間がかかった。まさか、追ってきてたなんて。
「ううん……すれ違いかな?」
自分の心臓の音が上ずるのがわかった。
「秀哉も心配してたわよ。泊まるなら早く連絡しなさい」
「うん。わかった……」
電話を切ってすぐ、数件のメールが受信される。どれも電源落ちてる間のもの。全部お兄ちゃんからだった。
内容は。
『今、どこ?』
『何してんの?』
『連絡して』
全部短いし明らかに怒ってる……!?
メールの文からも漂う冷気に肝を冷やす。
ど、どーしよ、どうする!?
すぐ連絡するべきなんだろうけど。スーハーと深呼吸を繰り返しても一向に落ち着かない心臓。
由真に相談してからにしようかな……。
やっぱりチキンなあたしが一人納得してそっと携帯を閉じるのと来客を知らせる高く短いベルがなったのはほぼ同時だった。