【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
「あら? チィちゃんどこから覗いてるの? 良かったわねぇお迎えが来て。またいつでも泊まりに来てね」
踊り場からこっそり覗いているところをおばさんに見つかる。道に迷ってここに来たとだけ聞いてるおばさんは、単純に家から迎えが来たと思ったらしい。
いや、間違ってはいないんだけど。
道に迷った元凶はその完璧な笑顔を顔に張り付けたお兄さんなんですよ。
「帰ろうか」
明らかな作り笑顔で促される。
「あ、いや、あの」
手にも額にも変な脂汗が滲む。
「気を付けてね。由真には言っとくから」
挙動不審なあたしを差し置いて、和やかな雰囲気で話を進めていく二人。
なんだか
拒める空気じゃなかった。
小さくため息をつく。
唯一の味方のはずの友の鼻歌がお風呂場から聞こえてきた。