【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
熱い体温と汗の匂い。きっとあちこち探したんだろう。心の芯が切ない音を立てる。
「これからは、もう少し考えて動いてほしいな。来週からは――もう探してやれないんだから」
柔らかいけどハッキリとしたその言葉に傷口を抉られるような痛みが身体中に走った。改めて突き付けられる現実に声が震える。
「……ホントに、行っちゃうんだ……」
「行くよ」
あっさりと答えるとスッと体を離して持ってたコートをあたしの肩に掛けた。
「着なよ。今夜は冷えるから」
まるで、何もなかったみたいに。二人の間を通り抜ける冷たい空気。突き放されたような、何とも言えない孤独感に足がすくむ。