【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
次の瞬間。額を弾く衝撃。
「いだっ!」
デコピン!?
「その顔、これからは俺の前以外では禁止だから。いいね」
少し低くて掠れた甘い声。
「え――どんな顔?」
涙目でオデコを押さえて見上げる。
「男を誘う顔」
「し、してないし!」
わざとらしいくらい大きなため息。
「無意識だから厄介なんだよ」
「……お兄ちゃんには、いいの?」
頭に浮かんだ疑問をそのまま口にした。
「て言うか、チィは俺以外でもいいの?」
驚いたように目を見開いて言うお兄ちゃん。
「違っ! よくない。お兄ちゃんじゃないと――」
静かな夜の住宅街。予想外に響く自分の声に驚いてどんどん小さくなっていく。
「――イヤ」
最後は小さな呟きだった。