【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
由真は途中で部活の子と話し込んでいたから先に一人で足早に校舎向かう。下駄箱に駆け込むとほっと息を洩らした。風が無いだけであったかい。
廊下に響く聞き覚えのある声に顔を向けると階段の踊り場に数人の女子に囲まれた長谷川くんがいた。
遠回りだけど、反対側から行こう……。そそくさと体を反転させる。
「――須田?」
ぎこちない動きで振り返る。白々しく今気づいたフリをしてしまう。
「ああ、長谷川くん」
「教室戻るとこ?」
「うん」
「みんなもう戻った?」
「あ、そうだね。男子はほとんど外にいなかったよ」
何気ない会話の間も女子たちの視線が痛い。邪魔なんだろう。怪訝な顔をしてる。