【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜

 自転車を手離して駆け寄ろうとした、その時。

「秀……哉!?」 
 
 後ろから聞き覚えのあるかん高い声が聞こえた。驚いて振り返ろうとしたら

「……秀哉ぁ!」

 前方からは見覚えのある丸いシルエットが叫びながらドタドタと走ってくる。

「うわっ!」

 次の瞬間、お兄ちゃんが二つの影に挟まれてさながらサンドイッチの具のようだった。

 ガラスとグラスが奏でる高い音。コプコプと空気を含んだ音を立てながら膨らんでいく白い泡。

「いやーー! 今日はいつもより早く帰ってきたんだけど、びっくり、驚いたよ」

 さも愉快そうに笑いながら瓶ビールをグラスに注いでいくお父さん。

「ホント! サプライズってこういうことをいうのね!」

 温かな湯気を立てた料理を次から次へと持ってくるお母さん。もちろんお兄ちゃんの好物ばかり。

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