【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜

 成績急降下。
 ホントのことだけど一番触れて欲しくなかったのに……お母さんの馬鹿。

 天才と凡人。

 造りも頭もどうしたって不釣り合いだ。分かってたことだけど。二人の間にある溝の深さにため息を隠せない。

 今日の宿題が多かったのは本当で鞄を引っくり返してプリントを掻き出した。現国、数学、地理、英語。

 出しすぎでしょ!?
 宿題という名の拷問だ。

「うーん、うう……」

 本気で向き合うこと数時間。口の端からこぼれるうめき声。比較的得意な現国と地理はなんとかこなしたけど英語と数学はもうわけがわからない。

「まだ頑張ってるんだ?」

「ひゃっ!」

 真後ろから聞こえてきた声に跳び跳ねる。

「お、おに、おにぃちゃ……」

「――チィ、だから毎回驚きすぎ」

 笑いを堪えるその魅惑的な仕草。心の準備のできてない心臓にはすごく悪い。

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