【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜

「だって、急に……」 

「言っとくけど、ノックも声かけもしたから。相変わらず鈍いな」

 図星をつかれて言葉ありません。

「教えようか?」

 プリントに目を移して机に手をついた。お兄ちゃんからの魅力的な提案!

「ホント! あ、でも……」

『自分で頑張る』
 その目標をあっさりと忘れて飛び付く所だった。

「もう、お兄ちゃんはいないんだから、自分でがんばろうって決めたんだ」

 あたしの志をお兄ちゃんは喜んでくれるだろう。夏休みも散々、自分でもう少し頑張れよって言われてたし。

 ――そう思っていたのに。

 大きな目を細めて眉間に皺。すごく、面白くなさそうな顔で言った。

「何? それ」

 へっ!?
 予想を裏切る反応に声が裏返る。

「いや、だって、今まであたしお兄ちゃんに甘え過ぎてたし。これからは、一人で――」

「だから、一人で。って何?」

 迫力のあるその整いすぎた顔がずいっと近づく。

「チィ。そんなこと言って、いいのかな?」

 眉をひそめ目は細められたまま声は苛立ったように低い。
 

< 349 / 370 >

この作品をシェア

pagetop