【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
十六歳の少女に一目惚れでブロポーズした本人は気まずそうに鼻の頭を掻いた。
微笑ましい二人のやり取りを見ながら、隣に座るお兄ちゃんを盗み見る。その表情は、ちょっと見入ってしまうほどいい顔だった。
『八重子さんと毅叔父さんが作るような、あったかくて明るい家庭を作りたい』
さっき聞いたセリフが甦る。
あたしと……?
未だ実感が沸かない胸の内。あんまりにもすんなり受け入れる両親を目の前に、正直動揺していた。
俯くあたしの目の前に差しのべられた大きな手に気づく。
そっと見上げれば、迷子のあたしを迎えに来てくれた時のみたいな、あの、包み込むような微笑み。