【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
頭を振って気の早い妄想を振り払ってるとあたしを呼ぶ甘い声が聞こえてきた。
「チィ」
階段を上がると短い廊下がある。そこに並ぶ扉。
それぞれの部屋の前で立ち止まる。
「はい」
妙に畏まった答え方をするあたし。
「これで――」
右手にお兄ちゃんの左手が絡められる。憧れの恋人繋ぎ。
「お前は俺だけの物だから」
繋がれた指先に温かく柔らかいものが当てられた。驚いて見るとそれは薄い綺麗な形の唇。
「バレンタイン、俺以外の男にあげてない?」
唇を付けたまま喋らないでほしいっ。
ふんわり微笑んで、すごく自然なのが、なんだか余計エロい。
そこから伝わる熱があたしの体を駆け巡った。
ひたすらぶんぶん首を振る。
滝山くんや菅沼くんに冗談で催促されたけど、チロルチョコすらあげなかった。
「真っ赤だよ。怪しいな。チィは可愛いから心配だよ。このまま鞄に詰めて拐いたくなる」
切な気な瞳もこれまた息を飲むほどセクシーだ。