【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
お姫様抱っこのまま器用に玄関を開けるお兄ちゃん。
入ってすぐに目についた時計は19時を回っていた。
バタバタと駆け寄るこの足音は……。
「チィちゃん!」
「千衣子〜? 遅かったわねぇ」
走って来たのはお父さん。
キッチンから声だけ聞こえるお母さん。
「留守電聞いてみんな心配してたんだぞ〜! 携帯忘れてるし。大丈夫なのか?」
お父さんは世界中に愛されてる、あの『クマの縫いぐるみ』に顔も体型もよく似てる。
愛嬌のあるその眉が下がる。
「うん。ごめんね、お父さん。大丈夫……」
その表情に、申し訳なくなって小さな声で答えた。