【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
その動作があんまりにもゆっくりと、丁寧で。その優しさに揺れる心臓。
そっと腕が離れていく時には訳も分からず寂しさを感じた。
「これからは――」
「え?」
仰向けのあたしの両腕の横に両手をつけて、
屈んだ姿勢のお兄ちゃんが呟く。
――ち、近いし!
心臓が再び早鐘をうち始める。
「一番に俺に連絡しろ」
そのいつもにない命令的な言葉と瞳が真っ直ぐにあたしを捉えて、
有無を言わせないくらい真剣な強い光を持っていた。
「わ、わかった」
あたしは囚われたように、素直な返事を返す。
そして、
わずか数センチ先の
お兄ちゃんが――。
「ブッ」
と吹き出した。
え?
何!?
「でも、その顔。ププ……」
その瞬間、思い出したおでこと鼻の頭の擦り傷。
「あっ!」
両手で顔を覆うけど、まさに今更。
「あ、足冷やすもの持ってくるついでにデジカメも持ってこよっかな」
お兄ちゃんは愉快そうに笑いながら部屋を出た。