【完】あたしとお兄ちゃん〜秘密の関係!?〜
「めちゃ、背が高くて、すっげー大人の男って感じのイケメンで」
やはり、間違いない。
「それ、お兄ちゃんだよ……」
「え!? マジで? ――そっかぁ。や、須田に超大人の彼氏って、意外だったからさぁ」
……意外ですいませんね。たしかに、並んで歩くと話すときとか首がつりそうになるほどの身長差。そして、お似合いのカップルとは程遠いビジュアルの差。
「でも、あんまり似てないね」
「うん、まぁね」
超耽美顔と超平凡顔。自覚してますとも。あの日は駅前に参考書を買いに珍しく二人で出掛けたんだ。
まぁ、その後は鬼勉だったのだけど。
不釣り合いでも『彼氏』に見えるんだなぁ。彼氏彼女というものに憧れる私としては、少しくすぐったい気持ちが湧いて、ふと、綻ぶ口元。
また、一人で笑ってる自分に気づいて周りを見渡せば、長谷川くんは他の男子に羽交い締めにされてジャレ合っていた。
どうやら深い意味の質問じゃなかったらしい。
なぁんだ。と息を吐く。
彼氏いない歴十六年
初恋は実らず
恋愛らしい恋愛も未経験
高校生活一年目も気づけば半分。
須田 千衣子。十六歳
色々焦るお年頃。
――二学期に期待しよう!
小さく心の中で意気込んだ。