亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
18.或る幼き愛への愛






私は、私を捨てた。















ザイロングという狩人を。

狩人としての私を。

同胞達の白い目が睨む私を。

認められてなどいなかった私を。

全てを背負う事を義務付けられた私を。

あまりにも偉大過ぎるそれを、重荷としか思っていなかった私を。

ひたすら、堪えていた私を。

逃れる様に孤独を追い求めていた私を。







全てに、私に、失望していた私自身を。













私は、捨てた。





捨てろと言われた私は、躊躇いも無く捨てた。

異存は無かった。

そんなもの、私は最初から欲しくもなかった。
要らなかった。



捨てたものは大きかったが、失ったものも、大きかった。

…失ったことを、後悔するだろう。
これから先、私は苛まれるだろう。



……だが私は、捨てたことに対して…後悔など微塵も無い。


………私には、この子がいる。


この子さえいれば、私は他に何も要らない。










彼女が私にくれた、この子だけが………私の生きる意味。生きる理由。



私の、ただ一つの、私の宝物。

















レトバルディア。


レト。

















私は、お前に謝らないといけないことがある。









レト、レト。


私は。














私は、最低な人間なのだ。


私はお前の、父なのに。














………私は、父と呼ばれる資格など無い。




………ほら、また……。

















お前はどうして、直ぐに泣くのだ。

















泣くな。


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